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02 TPE

16. 熱可塑性エラストマー、スチレン系(SBC)その2−使用例

1) 工具のグリップ
比較的安価で、軟らかいグレードが充実している、ABSとの接着性がよいことから、さまざまなグリップに使用されています。

2) パッキン類
2色成形により、プラスチック部品とパッキンとの一体成形も可能です。

3) 軟質が得意であるため、ゴーグルなどの軟質部品、シール部品に使用されます。

15. 熱可塑性エラストマー、スチレン系(SBC)その1

熱可塑性エラストマーの中で、もっとも生産量の大きいエラストマーです。
ハードセグメントをポリスチレン、ソフトセグメントにポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンなどを使用したエラストマー。

TPOより軟らかいグレード(HSA30〜)が充実しており、ゴムに近い感触が得られます。
シリコンゴムなどの代替用途に使われることもあるようです。
メーカーによっては透明グレードもあります。

材料コストもオレフィン系と同程度で比較的安価なのが特徴です。
水素添加ポリブタジエン系などは耐候性、耐熱老化性も向上し、さまざまな用途に使用されています。

14. ポリエステル系熱可塑性エラストマー、(TPEE)その2−使用例

材料コストが割高なため、比較的高機能な部位のみに使用される傾向があります。
1) 自動車部品として
特に比較的耐熱を要求される場所でしかも比較的力や屈曲をうける、自動車のブーツなどでは従来CRゴムが多く使用されていたのですが、CRより剛性、引裂強度、低温特性が高いなどの理由から、急速にシェアを伸ばしています。
その他、エンジンルーム内のエアーダクトなどに使用されています。
2) コネクター関連用途
耐屈曲性が強く、難燃グレードが充実している。PVCとの相性が悪くないなどの理由から電線保護用のジャバラやキャップに利用されています。

3) 低騒音歯車
耐磨耗性が高いことから、高硬度のものを歯車に利用することができます。振動を吸収できるため、ギアノイズを抑制できます。
4) 機械的性能の高さからスキーやスノーボードのブーツ部材やバックル部材なども利用されています。
5) 対油、耐熱、耐磨耗性の良さから、工具のグリップに使用されたりもしていますが、やや高級仕様です。
6) その他、携帯電話のコネクターのキャップや、ゴーグル類、建設材料など、幅広い範囲で利用されています。

13. ポリエステル系熱可塑性エラストマー、(TPEE)その1

今回は「ポリエステル系」の熱可塑性エラストマーについての説明です。

実は熱可塑性エラストマーの中では、生産量が比較的少なく、あまり身近な熱可塑性エラストマーではありません。
しかし、熱可塑性エラストマーの中で最も耐熱性、耐熱老化性にすぐれ、耐油性が高く、広い温度範囲で機械的な物性も良好であり、工業分野での高機能部材として良く使用されている材料です。
このためエンプラ系のエラストマーと分類されます。

材料コストが比較的高いのと、あまり柔らかいグレードが無いのが欠点ですが、ゴム製品のリプレースには無難なため、お勧めしやすい材料です。

ポリエステル系の熱可塑性エラストマーにも大きく分けて、
1) ポリエステルーポリエステル型
2) ポリエステルーポリエーテル型
の2種類に分類されます。

2)のポリエステル-ポリエーテル型は比較的耐熱性が高く、機械的性質が良いが、あまり柔らかい素材が出来きないと言われています。

12. オレフィン系熱可塑性エラストマー、(TPO、又はTPV)その2

ブレンド方法の違いを前回はこまごまと説明致しましたが、いくつかの部分を除けば次のようなほぼ同じ性質をもっております。
● 他のTPEに対して、比重が低く、軽量化が可能
● 他のTPEに対して、低コスト化が容易
● 着色が容易で比較的きれいな製品が得られる。
● 硬度のバリエーションが広い
● PPとの相溶性が良く、PPと2色成形ができる。
● 耐候性が良いほか、耐熱老化性、耐水性、耐オゾン性、耐薬品性が良好

ボールペン、シャープペンのグリップ、工具のグリップ、歯ブラシのグリップ・・・など、の日用品などのほか、自動車の内装品など様々な場所に使用されます。
ほかにもPPとの相溶性に優れているため、PPの耐衝撃性を高めるための改質材として自動車バンパーに大量に使用されております。

11. オレフィン系熱可塑性エラストマー、(TPO、又はTPV)その1

「オレフィン」とはエチレンやプロピレンなどの事です。ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)は代表的な「ポリオレフィン」です。
このポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)などを、ハードセグメントとして、ポリブタジエンゴムなどをソフトセグメントとしたものが、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO、TPV)と呼ばれるものです。
大きく分けると、ハードセグメントとソフトセグメントのブレンド方法により、ブレンド型、動的架橋型、重合型の3種に分類されますが、私の知る限り、ブレンド型と動的架橋型の2種類がほとんどです。
プレンド型は、比較的高硬度(ショア60A-90Aぐらい)の製品に使用され、 動的架橋型は低硬度のものを中心に各樹脂メーカーにより、それぞれ、ブレンド型をTPO、動的架橋型をTPVという略称で分類する場合と、まとめて、オレフィン系熱可塑性エラストマーすべてをTPOと呼ぶ場合があるようです。

10. 「熱可塑性エラストマー(TPE)」の種類と略称 その2

「ソフトセグメント」を構成するプラスチックにもいろいろな種類があるのですが、基本的に「ハードセグメント」の物性が支配的であるため、「ハードセグメント」を構成するプラスチックの種類によって以下のように分類されます。
1) オレフィン系(TPO)
2) ポリエステル系(TPEE)
3) スチレン系(SBC)
4) ウレタン系(TPU)
5) 塩ビ系(TPVC)
6) ポリアミド系(TPAE)
7) 塩素化ポリエチレン(CPE)
さらに詳しくは、「ハードセグメント」と「ソフトセグメント」をブレンドで混ぜるのか、重合を行うときに反応缶のなかで混ぜてしまうのか、「ソフトセグメント」にはどの物質を使うか、など、樹脂メーカー、銘柄、グレード毎にさまざまな方法やノウハウがあるようです。
それぞれに特徴があるのですが、とりあえず今回は上記の分類にて、一般的な説明を行います。

9. 「熱可塑性エラストマー(TPE)」の種類と略称 その1

熱可塑性エラストマーは略称で「TPE(Thermo Plastic Elastomerの略)」と呼ばれています。
また、熱可塑性エラストマーと一言で説明をしてきましたが、熱可塑性エラストマーにも化学的構造、配合、製造方法などの違いにより、いくつか種類があり、それぞれ異なった物性を持っています。
基本的には、熱可塑性エラストマーは「ハードセグメント」と「ソフトセグメント」を構成する2種類のプラスチックから成り立っており、主にそれぞれの構成比によって硬さを調節しています。

8. 「熱可塑性エラストマー(TPE)」の利点

「熱可塑性」のエラストマーが開発されたことによって以下のような利点が生まれました。
1) 加工時間が大幅に短縮されたことで、加工費が削減できるほか、大量生産が可能となった。
2) いわゆる「ゴム」に比べ、金型の自由度が大きく、複雑な形状、高い精度が可能
3) 通常のプラスチックの加工設備がそのまま使用できる。
4) ゴムに比較して簡単に着色が可能、調色も容易であるため美しい外観が得られる。
5) 熱で溶けるため、リサイクルが容易
最近では特に、この「リサイクル」性の良さが受けて、リサイクルが義務付けられている家電・自動車では盛んに利用されるようになりました。

7. それじゃあ、「熱可塑性エラストマー(TPE)」ってなに? その3

大分遠回りしましたが、やっと「熱可塑性エラストマー(TPE)」の説明ができます。

つまり、従来からある「ゴム」(普通のエラストマー)と異なり、「熱をかけると溶け、変形することが出来る」のが「熱可塑性エラストマー」なのです。

加工方法から言うと、おおざっぱに以下のような違いがあります。

「ゴム」
粘土状に原材料を良く練り合わせ、金型に挟んで焼いて固める。
(種類によって違うものもあります)

「熱可塑性エラストマー」
ペレット状の原材料に熱をかけて溶かし、金型に注入し、冷やして固める。

6. 「熱可塑性」と「熱硬化性」?

ちなみに「熱可塑性」の反対の言葉は「熱硬化性」です。
「熱硬化性」とは、つまり、「熱をかけると、固まる性質」のことです。
後々説明しますが、プラスチックには「熱硬化性プラスチック」と呼ばれる分類があり、「熱可塑性プラスチック」の2種類に大別されます。

前回のゴムの加工で、「一定時間、加熱する」という工程がありましたが、これは固めることだけが目的では無いのですが、「熱硬化性」にかなり近いものです。
ただし、 ゴムの事を、「熱硬化性エラストマー」と呼ぶ人は居ませんので、ご注意を。

「熱可塑性エラストマー」は、熱によって溶けて、冷やすと固まる、ゴム状の素材の総称だと覚えてください。

5.その前に「熱可塑性」とは?

前回までは「熱可塑性」では無い「エラストマー」である、いわゆる「ゴム」の話でした。

ところで、また遠回りになりますが、いったい「熱可塑性」ってなんでしょう?

またもや 辞書で「塑性」を調べてみると、
「物体に作用する外力が除かれても物体に変形が残る特性」(小学館国語大辞典)とあります。

粘土みたいなものを「塑性体」だと思ってください。
つまり、「熱可塑性」とは「熱をかけると、粘土のように柔らかくなる性質」のことです。

現在、 身の回りの「プラスチック」の多くは「熱可塑性」であり、熱によって溶け、変形が発生します。

4. いわゆる「ゴム」の加工方法

もうしばらく、「ゴム」の説明が続きます。

ゴムの種類にも拠るのですが、一般的なゴム製品は、
1) 原材料を加硫材とを所定の比率で混練する。
2) 加工用の金型に挟む
3) 一定時間、加熱する。
 (ゴムの種類にもよるが、固まるのと同時に、化学反応により架橋がすすみ、弾性が増す)
4) 製品の取出
5) バリを取る

という数工程が必要となります。
Step 3の「一定時間の加熱」というのも物によっては数分間必要とあり、ゴム製品は一般に、加工時間が多く必要となる場合が多いのです。

加えて、「加熱して固めた」わけなので、「熱には溶けない」ということになります。
これは、「熱に強い」という、大きなメリットでもあるのですが、反面、リサイクルしようと思った時に、方法が無いわけではないのですが、簡単には溶けないので、ちょっと厄介なのです。

3. その前に「ゴム」をチェック

前回は「エラストマー」の解説でした。
「エラストマー」は「弾力性のあるゴム状の素材」の総称、との解説をしました。
「熱可塑性エラストマー」の説明をする前に、いわゆる従来型の「ゴム」(加硫ゴムと呼ばれる)について簡単に説明します。
ちょっと遠回りになりますが、これを説明しないことには「熱可塑性エラストマー」の特徴を説明しにくいのです。

一口にゴム、と呼ばれますが、この「ゴム」にも色々あって、良く出てくるものに以下の物があります。

詳しく見る

2. そもそも「エラストマー」とは?

そもそも「エラストマー」って何ですか?という質問を頂きます。
たしかに、まだまだ知名度は低いようですが、普通の英語辞書で調べてみるとしっかり載っていて、
[elastomer]【エラストマー】
天然ゴム・合成ゴムなど、弾性体

とあります。ちなみに

[elastic /ilトstik/ ]【エラスティック】
ゴム(製)の;〈ゴム・ばね・気体などが〉伸縮性[弾力]のある;しなやかな;〔理〕弾性(体)の
融通の利く
ともあり、難しい学術専門用語かと思ったら意外にも普通の英語のようです。

まあ、掻い摘んで言うと、「エラストマー」とは「弾力性のあるゴム状の素材」の総称と言うことなんでしょうね。いわゆる「ゴム」はもちろん、「ゴムみたいなもの」も含めて全部「エラストマー」と思っても、取合えず良いと思います。
(用途によってはちょっと違和感のある場合もあるのですが・・・)

ですが、最近ではいわゆる「ゴム」ではない、「熱可塑性エラストマー」のことを、「エラストマー」と呼ぶ場合が多くなっているような気がします。
名前が長いし、「熱可塑性(ねつかそせい)」なんて聞きなれない難しい単語だからなのでしょうが、我々「プロ」からするとちょっと聞き捨てならないところであります。

というわけで、「熱可塑性エラストマー」、その用語の意味をちょっと説明させて頂きます。

1.熱可塑性エラストマー(TPE)」について

「熱可塑性エラストマー(TPE)」についてしばらく取り上げたいと思います。
「熱可塑性エラストマー(TPE)」は簡単に言ってしまうとゴム状の軟質プラスチックの一種です。それほど目新しい素材ではありませんが、さまざまな理由で採用が増えており、注目を浴びている素材です。
当社でも、現在、6メーカー、15グレードの取扱をしており、ちょっとした「ブーム」(?)になっています。

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