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2006年11月アーカイブ

11. オレフィン系熱可塑性エラストマー、(TPO、又はTPV)その1

「オレフィン」とはエチレンやプロピレンなどの事です。ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)は代表的な「ポリオレフィン」です。
このポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)などを、ハードセグメントとして、ポリブタジエンゴムなどをソフトセグメントとしたものが、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO、TPV)と呼ばれるものです。
大きく分けると、ハードセグメントとソフトセグメントのブレンド方法により、ブレンド型、動的架橋型、重合型の3種に分類されますが、私の知る限り、ブレンド型と動的架橋型の2種類がほとんどです。
プレンド型は、比較的高硬度(ショア60A-90Aぐらい)の製品に使用され、 動的架橋型は低硬度のものを中心に各樹脂メーカーにより、それぞれ、ブレンド型をTPO、動的架橋型をTPVという略称で分類する場合と、まとめて、オレフィン系熱可塑性エラストマーすべてをTPOと呼ぶ場合があるようです。

10. 「熱可塑性エラストマー(TPE)」の種類と略称 その2

「ソフトセグメント」を構成するプラスチックにもいろいろな種類があるのですが、基本的に「ハードセグメント」の物性が支配的であるため、「ハードセグメント」を構成するプラスチックの種類によって以下のように分類されます。
1) オレフィン系(TPO)
2) ポリエステル系(TPEE)
3) スチレン系(SBC)
4) ウレタン系(TPU)
5) 塩ビ系(TPVC)
6) ポリアミド系(TPAE)
7) 塩素化ポリエチレン(CPE)
さらに詳しくは、「ハードセグメント」と「ソフトセグメント」をブレンドで混ぜるのか、重合を行うときに反応缶のなかで混ぜてしまうのか、「ソフトセグメント」にはどの物質を使うか、など、樹脂メーカー、銘柄、グレード毎にさまざまな方法やノウハウがあるようです。
それぞれに特徴があるのですが、とりあえず今回は上記の分類にて、一般的な説明を行います。

架橋とは

建設業では「橋をかけること」を「架橋」というのですが、化学の世界では化学反応の1種で「架橋反応」と呼ばれ、高分子の分子間を化学的に結合させて網状構造をつくることを言います。

通常の熱可塑性プラスチック(熱で溶けるプラスチック)は分子が1本の直線状につながっています。
これに対し、ゴムや熱硬化性プラスチック(熱で溶けないプラスチック)においては、いくつも分岐があり、それが、他の分子の分岐につながることで、網目状になっています。
このような構造を架橋構造といい、架橋構造を得るための化学反応を、架橋反応と呼びます。
架橋反応が進み架橋密度が高くなるほど、結合が強化され、耐有機溶剤性、耐熱性が増します。

例えば、ゴムでは原料は粘土状の場合が多いのですが、これに「架橋剤」として「硫黄」などを良く混ぜ、熱を加えてやると、化学反応がおこり固まるとともに、弾性をもったゴムになるのです。
最近では硫黄分を含まない架橋剤もあるのですが、ゴムの成形ではこの工程を「加硫」と呼ぶことが多いようです。
さらに架橋剤を多く配合し、架橋密度を増すと硬い「エボナイト」という一種のプラスチックになります。

また、通常の直鎖状のポリエチレンは耐熱性が非常に悪く、耐熱性が良い物でも、50℃ぐらいから軟化が始まり130℃で溶融してしまいます。
このポリエチレンに放射線を照射すると、架橋反応がおこり、直鎖状の分子構造が網目状の構造にかわり、熱変形温度が120-130℃へ向上します。
このため架橋ポリエチレンは従来の塩ビに替り、電線や、配管に多用されるようになってきました.

ほかにも、エポキシ樹脂や、歯科などで使われる感光性樹脂なども架橋反応により固まります。

9. 「熱可塑性エラストマー(TPE)」の種類と略称 その1

熱可塑性エラストマーは略称で「TPE(Thermo Plastic Elastomerの略)」と呼ばれています。
また、熱可塑性エラストマーと一言で説明をしてきましたが、熱可塑性エラストマーにも化学的構造、配合、製造方法などの違いにより、いくつか種類があり、それぞれ異なった物性を持っています。
基本的には、熱可塑性エラストマーは「ハードセグメント」と「ソフトセグメント」を構成する2種類のプラスチックから成り立っており、主にそれぞれの構成比によって硬さを調節しています。

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